■現場より:避難する屋根神さま

 現在、納屋橋旧加藤商会ビル地下一階にて開催中の山地英樹さんの写真展「なごやの屋根神さま」を訪れました。堀川筋(西区)を中心に現存する屋根神さま、消滅した屋根神さまの両社が60枚の写真に納められており、飾られたモノクロ写真からは火や疫病から守ってほしいという庶民の素朴な願いを感じ取ることができました。
 展示写真の中で西区栄生の屋根神さまが消滅となっており気になって、会場を出てすぐに現地に向かいました。その屋根神さまは筆者が以前屋根神さまを実生活の中から見てみたいと移住した西区の家のすぐ裏側にあります。
 早速現地に着くと、そこはすでに重機が入って作業しています。普段から扉の閉っている社殿もかんぬきをしたままなので、近づいてすきまからのぞいてみると中からは社殿が取り除かれている様子。とうとうここもなくなったかと「別れ」の写真を撮りました。
 そんな落胆した気持ちで歩いていると外で花を世話していた人がいたので「あそこの神さまはいつなくなったのですか」と話しかけてみると、「あぁ、神さまはなくなったわけじゃないよ。建物を壊すもんで一時的にないだけで、どこかで保管しとるって聞いたよ。いつになるか分からんけど、建物を新しくしたらまつるらしいよ」と、意外な答えが返ってきました。
 たしかに工事をしている状況を見てしまうと消滅してしまったのかなと思ってしまいますが、地域の結びつきの強さを感じた一幕でした。それにしても一時的に保管とは、やはり神さまも工事のホコリや雑音は苦手なようです。