屋根神さまのおまつりには月祭である「月次祭」(つきなみさい)と氏神や祭神の祭礼があります。ここでは月次祭の準備の祭祀方法を取り上げてみます。
 準備と片つけの流れは以下の通りですが、現在、名古屋市内ではこの通りに行なっているところはほとんどありません。屋根にある社自体が減っていることも一因ですが、祭礼の省略化のためかつて行なっていた方法の原型はほぼ見られなくなっています。これはあくまでも私が実際に目にした光景ではなく、いくつかの町内の祭祀方法を見ながら、以前はこうだったのだろうと、頭の中で再現したものです。

〜準備〜

・朝は午前6時〜8時の間*に、当番*が備品の入った箱*、もしくは供え物や榊を持って社にやってくる。
・社の近辺に置いてあるはしごをかけて上がり、社に鍵や扉がある場合は開ける。
・ほうきやぞうきんで社周辺を簡単に掃除し清める。
・祭神のお札がまつられている神棚の扉を開ける。
・紫の幕を神前に張る。
・榊の水を替え、新しいものに交換し、古いものはおかがり用のかごの中に入れておく。
・お神酒、塩、洗米、水を載せた三方を神前に供える。
・供え物*を三方に載せて神前に供える。
・祭神の名前が書かれた提灯*のなかにろうそくを立て火を灯し*、木枠にそれぞれ取りつけ、神前につるす。
・はしごを片つける。
・お参りする。

注>
*1、開始時間は季節によって違う。夏は午前5時半ころに開始するケースも見られる。また町内や当番によって「午前8時に」と時間を決めているところもある。
*2、月次祭を行なう当番は、神さまが大町内、町内、隣組のいずれかに属するかによって異なってくる。大町内の場合は特別な祭礼時以外は町内を構成する「組」が当番を担う。組ごとに祭祀を行なうので、大人数の場合が多い。町内は大町内よりも少なく隣組よりも多いが当番はひとりか二人で、家族で準備を行なうケースも見られる。隣組は道路を挟んだ数軒で構成されている。当番の回りは早く、一年で何度も行なうという。準備は町内同様ひとりもしくは二人程度で行なう。
*3、祭具は木箱やブリキの箱に入れられている。それを当番の所在として回しているところが多い。箱のフタには当番を回す順番や祭祀方法が書かれた紙が張られている。しかし最近では、箱が重くて運びにくいことと準備をする人々の高齢化に伴い、社自体に備品入れ機能を持たせたり神域内に物置を設置し、その鍵を回すところが多くなった。
*4、供え物は一般に「山のもの、海のも、地のもの」といわれるが、現在ではこだわらず「何でも」お供えしている。お神酒にクッキーという組み合わせも見られる。
*5、提灯は必ずしも三社とは限らない。「御神燈」「献燈」も見られる。また提灯の代わりに幟を立てる地域もある。
*6、提灯に中にはろうそくを立てる芯がある。準備の際にともす町内もあるが、危険という理由で現在ではほとんど見られない。


〜片つけ〜
・午後3時〜5時の間*に当日の当番が片つけも行なう。
・おかがり用のかごを社の前に用意する。
・薪を燃やす。その際に古い榊や古いお札も燃やす*。
・社にはしごをかけて三社の提灯に火を灯す。
・お参りする。
・かがり火を完全に消化する。
・提灯の火を消して、はずす。
・お神酒などの供え物を下げる*。
・紫幕をはずす。
・三方や提灯、幕は備品入れの箱の中にしまう。
・はしごやおかがり用のかごを片つける。
・備品入れの箱を次の当番に回す。
・供物は当番が持ち帰る*。

注>
*1、片つけの時間も町内や当番の裁量で早くなることもある。また最近では供え物が盗まれるので、供物のみ早く片つけるケースもある。ひどいところでは、お札までが盗まれてしまうという。
*2、かつては片つけの際にかがり火を焚いていたが、名古屋市内ではほとんど見られなくなった。特別な祭礼日以外は危険という理由で燃やしていない。
*3、1の理由で早く片つけることもある。お神酒とスルメが供えてあるとセットでなくなっていることもしばしばあるとのこと。
*4、大部分が、当番が個人負担で供え物を購入し、お下がりは当番が持ち帰る。特別な祭礼日には町費で構成員の人数分を購入し、祭礼終了後に分ける。