写真集を作るに当たってのコンセプトは、単に屋根神さまの社殿だけでなく、それがまつられている場所の状況、状態がすぐ分かるように、周囲の景色も入れました。屋根神さまと地域住民との関わりを表現するために、人物も入れるようにしました。しかし人物を入れると画面が煩雑になりますし、やらせっぽくなるので、全部には入れておりません。
 また「ハレの日」、つまり1、15日の月次祭を選んで写真を撮りました。さらに季節の変化をつけるために雪の降る日も屋根神さまの写真を撮りたくて苦労したこともあります。最近はあまり雪が降りませんし、月次祭の日で雪が降るというのは奇跡に近いものですから、こうした写真を撮るために2〜3年かかったという場所もあります。「写真家の欲」というのでしょうか、夏祭や秋祭、かがり火を焚く場面を入れたり少しでもいい写真を撮りたいという欲求も出てきました。
 当初は2〜3年のつもりだったのが延びてしまって、そろそろまとめなければいけないと思い、200ヶ所を超えたところでひと区切りをつけて印刷に踏み切りました。発行部数は500冊。千冊くらい作ったらという方もいましたが、自費出版ですし自分の責任で売りさばかなくてはいけないので500冊にしました。幸い出版と同時に朝日、中日などの日刊紙に掲載されたこと、写真展をテレビ局が取材してくれたことにより、あっという間に売り切れました。

※2010年3月6日に開催されたセミナー「残そう! 屋根神」の講義録を連載形式で掲載いたします。