神楽屋形と出合ったのは四年前のこと。

 家の近くの神社のおまつりの日、境内の隅っこに置かれた一風変わった山車のようなお神輿のような、僕はそれを何というか知りませんでした。細かい彫刻で覆われ大太鼓と小太鼓が取りつけられた“置物”。神楽のお囃子をやっていたお兄さんから、それが神楽屋形であるということ、名古屋市内でも南西部に多いこと、普通は金神楽といって全体を金箔で覆われたものが多いことなどを教えてもらいました。

 神楽屋形は市内中心部で曵かれる山車と比べれば小さくかわいいものですが、田園地帯のあぜ道を太鼓と笛の囃子を響かせて進む姿を見れば、その存在の大きさが分かります。

 神楽屋形はマチではなくムラの宝物です。

 市内では港区や中川区の、かつての切や割といった大字小字単位で所有されています。稲穂が頭をたれるあぜ道を進むものもあれば、宅地化した地域ではあぜ道ではなく狭い路地を進みます。途中、花と呼ばれるご祝儀をいただきながら、お神酒もいただきながら、地域を一周し、その年の収穫に感謝し地域の安全を祈ります。

 神楽屋形を出すのは一年に一回のところもあれば、二年に一回のところもあります。しかも秋祭の多い10月に集中するので一度にたくさんの神楽屋形を見ることは難しい。神楽屋形がいっせいに集まる神楽寄せはいつ開催されるか分からない。どうしても見たければ、神社を一社一社回り、金魚のフンのごとく地域を回る神楽屋形についていく。でもそれが面白い。

 ああ、こんなすばらしい宝物が名古屋にあったんだ!

と感激しながら歩いています。そうして撮った風景を少しずつお見せできればと思います。