111009港区南陽町畑中

名古屋の西の端に位置する南陽町へは月に一度仕事の関係で足を運んでいる。
縁もゆかりもない南陽町に愛着が湧くようになったのは、秋祭りの前、夏の暑い時期に神楽屋形の所在を探し歩くようになった二年前からだろう。

獅子神楽屋形、通称「神楽」は、名古屋市中村、中川、港といった西南部に分布している。
地域の宝物という呼び名がふさわしい祭具である。
獅子頭を納める屋形が名古屋仏壇の影響を受け、いつしかきらびやかな装飾を施されるようになった。
市内では特に港区に多く、神楽だけではなく神楽囃子の保存会活動も盛んに行われている。
祭の場を訪れると「尾張新次郎太鼓」と染められた揃いのハッピ姿を目にする。

「もとはなかったんだけど、どこかで“出物”があったらしいよ」

畑中の神明社には、最近できたばかりのきれいな神楽堂が建てられている。
夏の港まつりで披露された神楽に再び出合ったのは、十月のある晴れた日。
刈り取り前の稲穂が頭を垂れるなかを、大勢の人たちが神楽を引きながら歩いて行った。

写真は名古屋市港区。