091214伊勢太神楽8


神楽屋形と出会った翌年の暮れ、三重県桑名市太夫町に伊勢太神楽を訪ねた。

伊勢太神楽の社中は毎年西日本を中心に巡行し、年末になると本拠地である桑名に戻って公演を開催する。
太神楽自体が初めてなので興味津々だったが、その祭具である屋形のチェックを忘れてはいけない。

広場では獅子舞や曲芸が間断なく繰り広げられ、その妙技には目を見張るばかりだ。
しかし肝心の屋形といえば脇役そのもので、お囃子の際の太鼓に使われるにすぎない。

演目が終わり間近で屋形を見てみると、それはそれはシンプルなものだった。
細かい彫刻もなければ派手な腰巻もない、白木造の屋形。
獅子舞を収めるための祠の前には小さな鳥居が立ち、その後方に搭載された大太鼓と左側の小太鼓。
祭具というよりは神さまを運ぶための神輿というのがふさわしいのかもしれない。
そのシンプルさに名古屋の神楽屋形原型を見るような気がした。

名古屋の神楽屋形は仏壇産業と結びついたことで、太神楽の屋形とは全く別方向へと進化が始まった。

仏壇という工芸品を作る技術も去ることながら、名古屋人の気質や美意識がモロに反映された結果、本来とは違ったド派手な芸術品に生まれ変わったといえるだろう。

写真は三重県桑名市。
獅子舞の左側に見えるのが太神楽の獅子屋形。