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祭の朝、午前七時半。
祭の準備の光景を見たかったので、早いとは思ったけど稲荷社に向かった。

三台の神楽屋形が納めてある神楽庫のうち、中之組以外のシャッターは閉まったままだった。

「カギ持っとるひとが来んもんでねぇ」

少し待っていると辰巳町、西之組のひとたちがやって来た。
辰巳町のひとたちは倉庫から稲荷社の境内前に神楽屋形を移動させ、西之組は倉庫の前で、それぞれ瓔珞や屋根に飾る装飾品を取りつけていた。

三町内の神楽屋形が揃うと囃子方の若者たちが細長い竹のバチで太鼓を叩く。
三台分のかん高い太鼓の音が境内正面のマンションにはね返って響き渡る。

神楽の近くにいると大音量に耳がおかしくなってしまいそうだが、しばらく聞いていると、そうそうこんな感じだった、と一年ぶりに聞くリズムが記憶のなかからよみがえってくる。

太鼓の音がやみ氏子総代があいさつする。
さっきまでのかん高い音がウソのような、つかの間の静けさ。

「今日も事故のないよう、お願いします」

カンカンカッカカカンカン…

待ってましたとばかりに太鼓が鳴り響く。
巡行の出発だ。

写真は愛知県名古屋市。