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僕が初めて東海通の祭を知ったのは、神楽屋形に興味を持った五年前のこと。
それまで神楽屋形自体も家から近い場所で祭をやっていることすらも知らなかった。

僕にとっての「初神楽」は中川区の中野神明社境内に置かれていた神楽屋形だった。
天保期に造られた神楽屋形は、基台である長持から屋形、彫刻にいたるまでこげ茶色に変色し年期を感じさせる白木造だった。

一方、神楽屋形に多い金箔を張った金神楽の初モノは、東海通の三台だった。

祭礼日の午後、神楽揃えの時間帯に入っていた仕事を無理いってずらしてもらった。

猶予は三十分。

あらかじめ近くのバス停から仕事場までのバスの時間を調べておいた。
祭礼後の仕事に差しつかえないように、持参するカメラ機材はできるだけ少ないものにした。

電車が駅に到着した。
カンカンカン、駅を出ると僕の向かう場所から、か細いがかん高い音が風にのって漂ってきた。

音の出所に歩みを早める。
音が大きくなったと思い神社の角を曲がると三台の金神楽が…

「すげぇ、キンキラキンだ...」

自分の貧しいボキャブラリーのなかからようやく絞り出した言葉だった。

あまりの感動に、この言葉以上の表現は見つからなかった。

写真は愛知県名古屋市。