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僕は仙台と福島で多くの道祖神と出会ってきた。

路傍の石仏然としたものから境内のある立派な道祖神社まで。
そのつど、手を合わせて旅の無事を祈ってはいた。

でもせっかくなら初詣らしい初詣をしたい。
そう思い福島稲荷に向かった。

自転車を止め鳥居をくぐると、本殿前からの長蛇の列が境内を越えて外の道にまで伸びていた。
最後尾に並ぶが、意外と本殿前までは時間がかからなかった。

柏手を打ち深々とおじぎをして立ち去ろうとすると、その横で親子三世代が本殿を背景に写真を撮ろうとしていた。
なかなか写真に納まろうとしない孫をおじいさんらしき男性はビデオカメラ片手に追いかけていた。

松川周辺を歩いていたとき、民家や公共の建物の敷地内に青や黒のシートで厳重に覆われた小山をあちこちで見かけた。
最初は何だろうと思いながら歩いていたけど、それが除染後の光景であることに気づくのにそれほど時間はかからなかった。
通り過ぎたすべての家の敷地や隣接地に覆われた小山が築かれていた。

澄み切った青空の下、初詣でにぎわう福島稲荷の光景を見るとつい忘れてしまうけど、いまだ拭われることのない放射能への不安…

道祖神という小さなきっかけが遠くに住む僕を福島に導いてくれた。

僕は福島で出会った道祖神たちが過去の忘れられた神としてではなく、今この時をともに生きる神として、福島のひとたちの幸せのために路傍に立ち続けてほしいと思う。

道祖神の役割はまだまだ終わっていないんじゃないかな。
僕はそう思っている。

写真は福島県福島市。