140114秦野市今泉マラセの神12

子どもたちが集まってきた。
聞くとお札を売りにいくという。

手にするのは「奉納」と書かれたプラスティック製の丸形ポット。
ふたには小銭を入れられるような小さな穴があいており、お札を売った代金はそこに入れてもらうようになっている。

お札は近隣の約九十軒に売り歩く。
すべてを売るのに八時ころまでかかるそうだ。
一月の寒空のもとで、さぞ大変だろうという思いは大人の感覚だろう。
子どもたちにとっては普段の生活の中ではありえないイベントなので、むしろ刺激的で楽しいのかもしれない。

出かけた子どもたちもいれば残る子どもたちも。

小屋のなかに入り、お札を売る準備をする。
小屋に上がるのは男の子だけに許されていることなので、売り子も男の子二人。
ヒーターがあるとはいえ簡素な小屋のなかは完全に冷えきっている。
それでも友だちと二人で小屋に上がった子たちのテンションは高い。

まだ札を求める客はいない。
僕が一番めの客になりそうだ。

写真は神奈川県秦野市。

※参考文献
「秦野の道祖神・庚申塔・地神塔」秦野市教育委員会 一九八八年