140114秦野市今泉マラセの神21


「一枚三百円です。お金はここに入れてください」

たどたどしい口調で客からお金を受け取り札を渡す。
その様子を母親は笑顔で見ながら「おつりが違うよ」とツッコミを入れる。

本来ならお札とともに煮物を振る舞うようだが、一番目の客である僕がお札を買ったのは四時を少し回ったころということもあり、煮物はまだ小屋に届いてなかった。

「お神酒はどうですかって聞いて」

母親から台詞を教えられた小屋の主人である男の子は、徳利をもって「どうですか」と尋ねた。

「当日皆がお参りに来る時には一人前位の量のおソバとお賽銭を、ドンド焼き(道祖神)の供え物として持ってくる。お参りをした人はその場でお神酒を飲みながら、なます、煮豆、きんぴらをつまむ」

マラセの神の項にはこう書かれているが、ソバと煮物の組み合わせの理由については触れられていない。

他の道祖神の前にも葉っぱの上にソバが供えられていたのを見た。

ソバは秦野の道祖神を語る上での重要なキーワードかもしれない。

じゃあ煮物は、酒の肴か...

写真は神奈川県秦野市。

※参考文献
「秦野の道祖神・庚申塔・地神塔」秦野市教育委員会 一九八八年