木之本駅を出て南側に歩を進める。

唐川地区の野神である大杉がまつられているのは、涌出山の南山麓に広がる唐川区の集落である。

高月駅を出てしばらくすると北陸本線の車窓から涌出山の麓に突出した木立が目についた。
それが唐川の野神さんだった。

「野大神」

推定樹齢四百年の巨木は二十メートルの樹高と約八メートルの胴回りを誇る。
幾重にも枝分かれしており、花粉と思しきものがたわわに実った果実よろしくその枝先に密集している。
もし自分が花粉症持ちならこのすばらしい巨木を見上げることさえままならなかったはずだ。

唐川を歩いた後、横山、東物部、西物部、松尾、西野、西柳野、柳野中と北陸本線の西側の地区を歩いた。

野神さんは地区によってまつられる場所はまちまちで、神社境内や専用の神域、分かれ道の角地、山の中などがある。

神体は僕が見た高月町の巨木はケヤキが多いが、スギや松もある。
ほとんど巨木だが、祠として神社境内にまつられていたり、巨木ではなく石を代わりにするところもある。
野神さんは滋賀県内では高月町のある湖北地方や湖東地方に多く、大阪府や奈良県でもまつられているという。

僕が野神さんにひかれるのはそれが木という自然神であり、集落の入り口に立っていることもあるので、どこか道祖神をほうふつさせるからである。

道祖神のような素朴さはないが、胴回り樹高ともに想像を超える大きさで、出会いのたびに上を見上げては「すげ〜」と声をあげている。

町の神さまというより「村の神さま」だが、いまはその魅力にハマってしまっている。

※続きは「「相模の三魔羅」異色の道祖神と出会う旅 その二」終了後に掲載予定です。