もう二十年近く前の話。

当時、就職活動と称して新聞社や出版社の試験を受けながらアルバイトをしていた。
だが勉強嫌いの凡人である僕が受かることはなく、でもマスコミで仕事したいなんてふざけたことを考えていた時期があった。
でも不思議なもので思い続けると夢は叶うようで、釣り関係の新聞社にアルバイトとして入ることができた。

マスコミ志望とはいえ真面目でなかった僕は文章を書くのがうまいわけではない。
面接のときに志望動機を四百字詰め原稿用紙一枚にひたすら「書きたい」を連発した熱っぽい作文を書いたことを覚えている。
それで通ったのが不思議だった。

それから、原稿用紙に鉛筆で一文字づつ文字を埋める日々が始まった。
僕の指導係のKさんは背が小さく酔うと愉快でエロいひとだったが仕事となると手厳しい。
新聞用の文章の書き方についてKさんは親身になって教えてくれた。
だけど、僕が当時日刊紙に投稿して掲載された文章を、褒めずにいちいち文句をいうから、嫌なひとだなと思っていた。

でもいま考えてみるとKさんが教えてくれたことは当時の僕の考えも及ばないくらい多かった。
その後、業界紙の記者となり、辞めたあとはいっときライターとして仕事をしたこともあったけど、それができたのはKさんのおかげかな。
いまこうしてブログに駄文を書き続けてられるのも、Kさんの教えが大きい。

若いときにそんなひとに出会えたことが僕にとってとても大きな幸せだと思う。