小雨が降り続いていてやむ気配がない休みの朝。
栄のお気に入りのカフェに出かけた。
「式内社調査報告」出雲国編とルーズリーフを持って行き、コーヒーを飲みながら、神社の場所と祭神をメモしていく。

一時間半くらいやると疲れてきたのでお店を出ることにした。
時間はまだ午前十一時前。
少し寄り道でもと思い、近くの書店に入り、気になっていた本を探した。
手にとってパラパラめくるも、今日買う本ではないと棚に返す。

それから本の背表紙や表紙を眺めながらぶらぶら歩いていると帯に書かれた「神の森」という文字が目に飛び込んできた。
早速手に取る。

「沖縄の聖地 御嶽」

僕が式内社に関心を持つきっかけとなった岡谷公二さんの新刊だった。
有無をいわずレジに持って行こうとしたところ、売れ筋本のなかに面白そうな本を見つけた。

「その落語家、住所不定。」

立川こしらという落語家が書いた本だ。
「タンスはアマゾン、家のない生き方」という副題が興味をそそる。

御嶽と落語家。
一見関係のない取り合わせだけど、大きな共通点がある。
こしらさんには家がなく持ち物も極端に少ない。
一方、御嶽は神社のような建物がない森だけの聖地である。
つまり両者に共通するのは「ない」ことの価値である。
自分が無意識のうちにこの二冊を選んだのも「ない」ことへの憧れが潜在意識のなかにあるからではないだろうか。

憂鬱になりそうな雨の日。
面白い発見で心のなかに明るい日差しが降り注がれたようだった。