本を含め机周りをきれいに片つけたのはいいが、まだまだ完全にスッキリしたとはいえない。
机の引き出しを開けると捨てられないものが多く秘蔵されている。
代表的なのが銀行の通帳と給与明細。

通帳って記帳欄がなくなった時点で利用価値がなくなったはずなのに、捨ててもいいものかどうか分からなかった。
分からない以上、とっておくのが一番楽なのだ。
札束のようにゴムどめしてある終了通帳にはすでに解約して数年たっている銀行のものまである。
残念ながら昔の通帳を眺めながら懐かしさに浸るだけの感性を持ち合わせていない僕には、引き出しの肥やしとなった通帳は捨てる以外の選択肢が見当たらない。

給与明細も然り。
入社以来、後生大事にひと月分もなくさずとってあった。
でも口座に給与が振り込まれた時点で目的は果たされるはずである。
とっておいても額面が増えるわけでもないが、なんとなく捨てにくい。
休職とはいっても過去となりつつある職場の給与明細を取っておくこと自体が、なんだか過去に執着するような気もしないでもない。
ならば捨てるべきである。

信州南部のとある山荘。
風呂に直結した釜に持参した通帳と給与明細を放り込んだ。
火をつけると、音もたてず静かにメラメラと燃えていく。
記帳された残額も給与明細の額面にも瞬く間に火が回った。
大切に思っていた数字たちも、一瞬のうちに黒い灰となった。