「出雲国の式内社を巡るため、島根県に短い期間住むことはできないだろうか」

そう思い立ってからというもの、来る日も来る日もそんなことが果たして可能なのかどうか、考え続けていた。
仕事の問題や奥さんの説得もある。
また、これまでの古社巡礼は基本的に自宅から現地を訪ね、たまに宿泊することもあったけど、そこからまた自宅に戻ってきていた。
巡礼とはいいつつ家に帰れる安心感が常にあったのだ。

もし短期滞在、例えばひと月くらい、島根県に滞在しながら神社を訪ねることになったら、自分の精神にどのような影響をもたらすだろうか。
丸々一日、神社を回ることが生活の中心になるという楽しみがある半面、不慣れな場所での日常生活は一体どうなるのか想像もつかない。
もちろんそんな心配は向こうに行けばなんとかなるものである。
学生時代に住んだ京都や韓国・ソウルでも、実際現地に着いてみると心配ごとなんてただの杞憂だった。

住居に関しては以前、アメリカに住んでいる知り合いが実家のある名古屋に短期間滞在するためにウイークリーマンションを借りたという話を聞いたことがある。
ホテルを借りるよりも安かったそうだ。

ウイークリーマンションなら島根県の県庁所在地である松江市にもあるだろう。
グーグルで「島根県 ウイークリーマンション」と検索してみた。
トップには「レオパレス」が出てきた。
昨今、施工不良が問題になってはいるがさすが大手、島根県にもあってくれた。
思わず感謝の気持ちがこみ上げてきた。

あとは、松江は日本海が近いから新鮮な魚が買えるスーパーが近くにあるといいし、でもマンションの場所は駅から近いといいな、酒蔵があれば直接買いに行ける、なんてことを頭のなかであれこれ想像を膨らませながら検索結果をクリック。
が、新鮮な魚も駅近くも酒蔵も、すべての期待は一瞬にして消えた。

松江にもレオパレスはあるにはあった。
でも僕が望むような短期滞在型ではなく、少なくとも半年以上借りなくてはいけないタイプだけだった。
松江以外の他地域で探すも結果は同じだった。
ひと月滞在なんて需要はないのだろう。

これで島根県に滞在するという夢も無残に散ったか…
そう肩を落としたけど、もう一度気持ちを改めて再び検索をかけてみることにした。