僕が出雲行きを意識したのはいつごろだろう。
うろ覚えだけど、職場の責任者になって一年を過ぎたころだったと思う。
仕事で重大なミスをしたと思い込み、その責任をとって辞めようと考えたことがあった。

もし職場にいられなくなったら...
なぜか次の仕事を探さなくてないけないという不安よりも、出雲国の式内社を訪ねられないかと想像をめぐらせた。
「プチ移住」まで計画したかどうかは記憶にない。
だけど名古屋から遠い出雲国(島根県)へは通う訳にはいかず、すべての神社を回るには短期滞在以外に方法がないと思っていた。

結局、仕事でのミスは僕の勘違いだったからそれはそれでひと安心だった。
でも出雲行きの件は立ち消えになったわけでなく、その後、妻との会話で何度となくその話題が出るようになった。
最初は半ば冗談のようだったが、現実味を帯びたのは仕事が忙しくなり体が不調に見舞われたとき。
仕事を辞めることを考えるようになり、仕事を辞めたあとに何しよう、すぐに転職を考えたくない、じゃあ出雲国の神社を訪ねよう。
そう芋づる式に夢が再び頭のなかに浮かびあがった。

四月末に仕事を辞めることを今年前半の目標とした。
職場で話をすると慰留され休職という扱いになった。
辞めて行くのではなく、形式的には仕事を休んで行くことになった。

出雲行きは明々後日に迫った。
いままでなんとなく思っていたことが実現されていく。
もう夢ではない、これは現実である。

明朝、荷物を宅配便の直営店に持っていく。
少しずつ、本当に一歩ずつだけど、前に進んでいる。