出雲国の神社を回りながら、これまでお札を買うことが一回だけあった。

「出雲 佐太 火災水難防禦守護」

文字とともにとぐろを巻いた蛇の絵が描かれている佐太神社のお札だ。

ここに描かれた蛇は「竜蛇様」といわれる。
吉野裕子著「蛇」によると、竜蛇様の正体はセグロウミヘビといって神在月になると海辺に打ち上げられるウミヘビである。
佐太神社では神の使いとして奉納するという。
ちなみにこの蛇、コブラ並の猛毒を持つらしい。

神社に隣接する鹿島歴史民俗資料館では佐太神社の御座替祭で舞われる「佐太神能」に関する展示を見た。
ここではご神体である「竜蛇様」を手に持つ舞いが再現されていた。

それにしてもなぜ蛇なんだろうか。

今日訪れた出雲国秋鹿郡の大野津神社。
須佐之男命をまつるこの神社ではかつて、雨乞い神事が行われていた。
神事に必要なのは「蛇骨」
どのようなものかは由緒に記されていなかったが、それを宍道湖に沈めるとやがて雲が立ちこめて雨が降るというのだ。
ここでも蛇の存在が重要になってくる。

僕も神社を訪ねる旅のなかで蛇を何度か見かける。
今日、玖潭神社を訪ねると黒っぽい蛇が境内にたたずんでいたが、僕の気配を感じ隠れてしまった。
それならまだいい方だ。
見かける蛇の多くは轢死体だった。

種類は違えど、ご神体として尊ばれる一方で、車にひかれてぺしゃんこになった姿を見ると、なんだか切なくなってくる。