古社巡礼の最中、たびたび地元のひとと話をすることがある。

まずタイヤが太い自転車の話題から入り、それから「どっから来た?」と出身地を尋ねられるのがお決まりのパターンだ。

「愛知県からです」

そう答えるようにしているのは数年前、東北を旅したとき、「名古屋からです」といっても「えっ?」といわれたことが何回か続いたことがきっかけである。
東北、そのときは岩手だったけど、名古屋よりも愛知県から来たといった方が分かってもらえる可能性が高かった。
県営名古屋空港から直通の飛行機が飛んでいるとはいえ東北から見ればまずは東京で、名古屋はどうしてもその陰に隠れてしまうのだろう。

そんなことで今回もあえて「愛知県からです」と答えるようにしていた。
でも意外と名古屋で通じることもあった。
十六島近く、「北の宮」とわれる許豆神社で神社の総代さんか地区長さんのようなおじいさんと話をしたときのこと。

最初はお約束のように自転車の話だったけど、次にどこから来たという話になった。
すかさず、「愛知県からです」と答えると「ということは、名古屋かね」といわれた。
「そうです、名古屋からです」

そのおじいさん、年のころは七十代後半から八十代。
じつは娘さんが愛知県高浜市に、甥っ子さんが豊田に住んでいることから、愛知県とは縁があるといっていた。

「また行かれるんですか?」との問いに、「都会はあわんけん。でも飛行機ならあっという間やけ、動けるうちに一度行きたいわな」

電車では行きにくい島根・名古屋間だけど、飛行機を使えばあっという間だ。
遠い遠いと思っているのは自分の先入観かもしれない。