出雲市内の観光を終えてから一路、雲州平田駅へ。
駅から徒歩十分ほど、旧木綿街道に面した醤油屋さんに入った。

入り口のベンチには高校生がみたらし団子と醤油がたっぷり塗られた焼きおにぎりを頬張っていた。
歴史を感じさせる老舗の店先でおやつを食べる高校生がいる。
なんていい町なんだろう。
そう思いながらお店のなかへ。

棚には売り物の醤油が大きなものは一升瓶、小さなものは100mlのミニサイズまでが売られていた。
僕たち夫婦が入るとすぐに大女将であるおばあさんが接客をしてくれた。
料理の用途について話を聞きながら妻は、だし巻き卵に使うとおいしいという白だしとして使える「かつおだし」と無添加の「生しょうゆ」をミニサイズで購入。

すると大女将、「どちらからおいでですか?」と尋ねてきた。
「愛知県の名古屋です」
「名古屋のどちら?」
「熱田区です。熱田神宮の近くですよ」
「私は昔、道徳の近くの大江におりましてね。終戦で父親がこちらに帰ってきて、それ以来なんです。熱田神宮には一度も行ったことがなくて」
「えぇーっ、そうなんですか? ぜひお越し下さい」

数日前、十六島の近くでも親類が愛知県に住むというおじいさんに出会った。
遠く離れた島根県で愛知県、名古屋なんて聞いても距離感があるだろう、と勝手に思っていたけど、意外なところで名古屋とつながった。
遠くまで来て故郷の話ができることほど嬉しいことはない。

「また来て下さいね」と大女将。」
電車の時間が近づいていたので足早に駅へと向かった。