おそらくここくらいでしか体験できないことじゃないだろうか。

松江からJRに乗り二駅目。
玉造温泉駅で降り宍道湖側に歩いて十分ほどで「いずもまがたまの里伝承館」に到着した。
穏やかに凪いだ宍道湖の湖面が眺められる建物では大小様々な勾玉が販売されているが、僕らの目的は勾玉作成の体験である。

石は素人にとって加工しやすい蝋石と琥珀が選べ、蝋石なら三十分から、琥珀なら一時間ほどで作成を体験できる。
ある程度成形された原石には線が引かれているので、その線に沿ってとにかく磨く。

僕が選んだ琥珀はパズルのピースのように型からくり抜かれたような形。
茶系で透き通った見本の手触りは滑らかで、始める前はこのレベルに達することができるのだろうかと心配していた。
「最後には驚くほどきれいに仕上がりますよ」
職人さんの言葉を信じ、紙やすりでひたすら石を磨く。

磨きのコツは最終的にどんな玉に仕上げたいかによる。
僕は角がない滑らかな手触りの玉を作りたかった。
粗めの紙やすりで角をなくし、次に細かい目のやすりで全体を磨いた。
気がつけばバットには細かい削りかすの山ができていた。
職人さんの指示で玉についた傷をさらにやすりで磨き次の行程である水やすりへ。
玉を水に入れてさらに番目の細かいヤスリで磨いては布で拭き、細かい傷を確認する。
この作業を何度か繰り返すと、素人の見た目では傷がほぼなくなった。

最後はワックスを塗り、飾りのビーズとともにヒモにつけて完成。
七月生まれの僕は誕生石であるルビーを意識して赤いビーズをつけた。

松江に「プチ移住」後、神社巡りを中心として名古屋ではできない経験をしてきたけど、今日の勾玉作り体験はこれまでとはまったく違った楽しい経験となった。
ちなみに作成後は温泉街に鎮座する玉作湯神社の手水で清めて参拝。
これで我が勾玉に魂が吹き込まれた。
世界でひとつだけのマイ勾玉の完成だ。