先月の七日から松江での暮らしを始めて以来、節約を兼ねてできるだけ自炊することにした
それがいまも続いているのだけど、おかげでといっていいのかそのせいでというのか、僕には松江で馴染みになったお店というものが存在しない。
イオンは別として頻繁に通ったお店というものはないので、松江をあとにするときも、ウイークリーマンションの会社に連絡する以外、特にだれとお別れすることもない。
ただひっそりと去っていく。

特定のひとに告げる別れはないものの、慣れ親しんだ風景にはちゃんと別れを告げたい、そう思う。
窓から眺める宍道湖畔、一番近い森である白潟天満宮、ベランダから見下ろす山陰線の高架線路、毎日のように聞いていたBSS松江FM、早朝五時台に新聞を買いに行った近くのセブンイレブン、その他もろもろのことや場所、そして、お世話になった松江のすべての場所に対して、お別れを伝えたい、そんな気分である。

六月二日にやってきた妻が三泊四日の予定を終えて今日、名古屋に帰宅の途についた。
当初、松江から一緒に名古屋に帰宅する予定でいたけど、自転車があるという理由で妻が先に帰ることになった。
僕は松江での暮らしを終えたあと、隠岐の島に向かう。

一日一日、時間は進んでいる。
ひと月という時間も、いつか過ぎ去ることなんて前もって分かっていたことだけど、いざその日が近づくと寂しさがあふれてしまう、買ったばかりのお酒がそのうちなくなってしまうように。

明日が丸一日松江で暮らす最後の日。
旅立つ準備をしなくてはいけないけど、せっかくだから僕の好きな松江の風景を朝から探してみたい。