出雲国の式内社を巡りたい。
前々から思い焦がれていた出雲国。
四十五歳になってその夢をかなえてしまった。
五月七日に松江での「プチ移住」を開始し、翌五月八日からスタートした古社巡礼は六月一日で終わった。

松江で暮らしたひと月の間、気になっていたことがある。
正午、逗留先のマンションの部屋にいるとどこからともなく音楽が聞こえて来た。
これまで気にすることはなかったその音楽。
今日、マンションでその曲を耳にしたので「松江市 正午 曲」で検索してみた。
出てきたのが「松江市の歌」
普段は出かけていて聞くことはないけど、休みの日に何度か耳にしていたのは市の歌だったのだ。

明日、松江を発つ。
今日はやり残したことをやろうと思った。
用事を済ませマンションに戻ってきたのが正午少し前。
昼食の準備をしていたら外から例の音楽が聞こえてきた。
歌詞を知りたい。
幸い松江市のホームページではフルコーラスの歌を聞くことができる。
聞いていると、明日で松江をあとにする僕にはしんみりしてしまう歌だ。

「プチ移住」したひと月の間、マンションの窓を開けると宍道湖が見えて、古社巡礼に出かけるとき大橋川に架かる橋を渡りながら朝日がのぼる宍道湖を眺め、朝一の一畑電車に自転車ごと乗りこみ、何度も湖岸沿い道路を走って松江に戻った。
曲を聞くと、何気なく目にしてきた風景が記憶のなかから浮かび上がってくる。

「プチ移住」なんて勝手に考えた言葉だけど、知らぬ間に松江のまちの素敵な部分を体のなかに取り込んでいたのだ。
短期とはいえここに住んだという事実。

朝一番のお寺の鐘、鳥のさえずり、山陰線が通り過ぎる音、朝一コンビニに新聞を買いに行ったこと。
すべてが僕のなかの松江である。

明日、午前中に荷物を送り、午後には隠岐の島に旅立つ。
長いと思っていたひと月も過ごしてみればあっという間だった。

ありがとう、松江。
ありがとう、出雲国。