隠岐の島では式内社を巡りながら海辺の道を走ることがある。
島だから当たり前のことなんだが。

走っていて海水浴場ほどではないけど小さな砂浜があれば、気が向くとFATBIKEを置いて浜に降りることがある。
その場にしゃがみこむと、打ち寄せる波に洗われながら石にしがみつく小さな巻き貝を発見。
よく観察すると細かく動いているが、指先でつまむとさっと貝殻のなかに隠れてしまう。
なかなかかわいい奴だ。

見渡すと石という石の上には同じような貝がたくさんくっついている。
この名も知らぬ貝以外に生き物といえば...フナムシくらいか。

波打ち際の生き物探しに没頭して無垢な少年時代に戻ったのも束の間、視線を移すと波打ち際には案外ゴミが多いことに気づいた。
打ち上げられたものだ。
ペットボトルや缶といった小さなモノから船舶用の浮き、一斗缶、形の崩れた発泡スチロールといった大型のモノまで様々だ。

ペットボトルの出身地を見ていくと、韓国のものが圧倒的に多く、次に中国(大陸)、珍しいものとしてベトナム(であろう)のペットボトルも見つけた。
波に乗ってぷかぷかとたどり着いたのだろう。

二十年近く前、韓国で暮らしていたときに鬱陵島を旅したことがあった。
偶然、岸壁近くに座っていたら緑色の扁平なプラ瓶が目の前を漂ってきた。
むむっ、どこかで見たことある形、近づいてきたとき思わず声が出た。
「あっ、ママレモンだ」

国境を越える海流。
政治とか国民感情とか関係ない、純粋な自然現象である。

転じて、隠岐の島には海流に乗ってやって来たひとたちが多かったんだと思う。
そこで島を開拓した人々を束ねる人物が神となり、神社の名前としてその名を刻まれたのでないかと思った。
隠岐の島には明らかに神名を冠した式内社が十五社中十社。
ざっと挙げると、

由良比女神社(知夫郡)
比奈麻治比賣神社(知夫郡)
眞気命神社(知夫郡)
天佐志比古命神社(知夫郡)
奈伎良比賣神社(海部郡)
宇受賀命神社(海部郡)
玉若酢命神社(周吉郡)
和気能須命神社(周吉郡)
水若酢命神社(穏地郡)
伊勢命神社(穏地郡)
これだけある。
見事に神名。

どういういきさつでこういった神さまが多いのだろうか。
考えられるのは海の存在。

隠岐の島で海を目にしない場所はない。
同時に韓国ほか外国からの漂流物が多いことと関係ないようで、じつは大いに関係あるんじゃないか。
そう思う、隠岐の島の旅。