190511須多神社1

松江から名古屋に戻って来てそろそろひと月が経とうとしている。

帰宅以来、「ひと月前はホーランエンヤだったな」とか「先週は〜に行ってたな」と妻に話しかけていた。
しかし毎度毎度、同じような話ばかり聞かされるものだからウンザリしてきたのだろう。
最初のうちは「うんうん」と話を聞いてくれていたのだが、そのうち「はいはい」と呆れ顔になった。

それでも自分自身のなかで毎日問いかけている。
先月の今ごろどこにいて何をしていただろう、と。
それほど宝物のような時間を松江や出雲で過ごしたわけだから。
その熱は容易には抜けきらない。

今朝も仕事を終えていつも通る道を歩いて帰る途中、ふと目に入ったのは地元のお酒の名前。
「八束穂」
我が家から一番近い酒蔵の銘柄である。

これまでも何度かそのお酒は買ったことがある。
でも改めてその名を見たときに思い浮かんだのが「八束水臣津野命」
能登半島や朝鮮半島の新羅、隠岐島から「国来々々」と余っている土地を引っ張ってきて島根半島を作り、小さかった出雲国を大きくしたという国引き神話は有名である
出雲市駅には現在、綱を引っ張る命の絵が観光客を出迎えている。

余談だが、出雲市駅を出て商店街に向かう途中に「なごやめし本舗」という居酒屋があり、名古屋人としてはとても気になっている。
お店の外には手羽先などのメニューとともに愛知や岐阜のお酒の銘柄が書かれているが、お節介かもしれないけど、すぐ近くの商店街にある旭酒造の「+旭日」の方がおいしいと思うけどなぁ。
出身者は何度かその前を通るたびに心のなかでそうつぶやいていました。

「八束穂」自体は「長くよく実った稲の穂」という意味である。
「八束」つながりで強引に結びつけてしまうと、須多神社の鎮座地は旧八束郡東出雲町、現在は松江市東出雲町である。
限りなく中海に近い場所であるけど、神社は中海沿いの平野の後背地に連なる丘の一部である古城山の南側に鎮座。
残念ながら境内から海を眺めることはできない。
入り口に立つ鳥居をくぐり石段を上がって拝殿へまで95歩、まずは参拝。
出雲の神社で見かける随神門はなく、神社の建物以外には比較的新しそうな氏子会館があるというシンプルな構造である。

丘というか山の中腹にある境内は当たり前だけど多くの木々の緑に囲まれている。
背が高い木々が多く、参道脇に立つタブノキは根元にウロができた老樹のようだが、伸びた枝葉が参道に射す日光を遮っている。
元気な証拠である。

「式内社調査報告」によれば祭神は宇迦之魂命。
摂社には意宇ノ杜神社があり、祭神は八束水臣津野命である。

写真は島根県松江市。

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