高松から帰り一日が過ぎた。

その翌日である今日、朝から夕方まで仕事をするとようやく自分の身が高松から名古屋に帰ってきたんだな、と実感した。
十日間も仕事をせず自転車に乗って神社を巡っていたのだから、現実の生活に戻るのに時間がかかるかと思いきや、その辺の変わり身というか切り替えは早いようで、今日もつつがなくなく仕事をやってのけた。
高松での生活(「プチ移住」と僕は呼んでいるが)のあとに普通の生活に戻るのは難しいと思ったけど、案外とそうでもなかったのだ。

本屋で立ち読みをしていると移住に関する本や雑誌を目にする。
地方移住、田舎へ移住、羨ましいなぁ。

亡くなってから一年になる父親も移住という言葉のもつ甘美な語感に魅せられたひとりだった。
しかし老いた両親と二人の子どもの存在よりも自分の気持ちを優先することに抵抗があったのだろう。
とはいえ気持ちの高ぶりには抗しきれず、セカンドハウスという形で折り合いをつけた。
ちょうどいまの僕と同い年くらいにである。

父親と同じ生き方をする必要はないが、その背中を見て育ったせいか、自分の家、拠点がありながらもどこかふらっと行ってしまいたい衝動に駆られる。
単なる旅では物足りない、かといって見知らぬ土地に移住する勇気はない。
だったら短期間でもいいから住んでみたい。

松江にひと月暮らし、高松で十日暮らした。
もともと恵まれた生活をしていることも考慮にいれないといけない。
でもミニマルな生活を心がけていれば、名古屋というメーンの場所で暮らしながら、「プチ移住」という暮らしもなんとかなる、と思う。