二十年前の大学時代、サイクリング部時代の春合宿。
スタート地点の高松を出発したあと徳島方面に向かったはずなのだが、いまではどこに行ったのか記憶にない。
ゆいいつ覚えているのはその後、四国山地に向かったことくらいだ。
当時のサイクリング部には女子部員もいたものの、僕が選んだ四国を走る班は男班。

だからだろう、のっけから厳しいコース続きだった。
圧巻は二日目。
徳島県内の林道を走っているときに降り始めた雪が次第に激しくなりコース途中でビバークした。
テント泊は基本的に回生別なのだけど、このときばかりは寒さを心配して四人用テントで六人寝た。
食事はコッヘルに雪を詰めテント内で湯をわかし作った。
とんだ災難だったが、いま思うととにかく無事だったことが何よりだった。

大学の卒業式後、サークルの飲み会で後輩がそのときの春合宿が一番だった、と思い出を語ってくれて嬉しかったことを、四国を走りながら思い出した。

ここまで書くと四国ってサイクリストにとっては試練のような場所に感じるかもしれないが、式内社を求めて香川県内を走っている限り、きついと感じたのは山頂近くに鎮座する神社を訪ねたときと、国道11号線を坂出から高松に抜ける際に越えた山くらい。
日々の走りでは先回、プチ移住した島根県ほどきつくはなく、むしろ楽なくらいだった。

とはいっても小高い丘くらいは山ほどあった。
布勢神社もそんな場所に鎮座していた。

鳥居と石注連柱をくぐり、正面の拝殿まで45歩、まずは参拝。
境内全体を見渡しても古社然とした古さを感じない。
境内に建てられた「布勢神社改修事業竣功記念碑」によれば平成十五年に神社の建物は改築された。
そのとき寄付を出した氏子さんたちの名前が石版に刻まれよく見えるように境内のふちに立てかけられている。
これも香川県内の神社ではどこでも見られたもので、讃岐独特のものかもしれない。
祭神は孝元天皇の御子にして四道将軍である大彦命。
神社創建は天平元年といわれるから、歴史だけみれば相当な古社である。