「式内社調査報告」によると阿野郡の鴨神社は東鴨社と西鴨社の二社が存在する。
両社の距離は近く、FATBIKEだと神社間は十分かからないくらいだ。

鴨神社近くまでやって来たのは午前十一時を少し回ったころ。
普段は「プチ移住」の経費節減のため昼食用に朝、おにぎりを握り、即席味噌汁とともに持っていくようにしていた。
「松江プチ移住」以来の習慣である。
しかしその日は朝から、讃岐うどんの名店である「がもう」でお昼をと決めていた。

「がもう」は観光系ムックや旅本では必ずといっていいほど掲載されている名店。
うどんよりも神社、の僕だけど妻が買ってきた旅本でその存在を知った。
しかもお店が鴨神社から近いと来ればうどんファンならずとも行ってみたくなるのが人情だろう。

坂出の市街地から東鴨社の近くを過ぎしばらく行くと遠目にも雑誌等で見た覚えのあるお店と青いドラム缶を見つけた。
ここだここだ! 
FATBIKEをとめてお店に向かうと大勢の客が店外に座ってうどんをすすっている。
駐車場の車も地元香川と同じくらい他県ナンバー車があり、お店に行く前には僕の地元、名古屋ナンバー車とすれ違った。

全国区の有名店に入れるなんて、テンションが上がった状態でお店に入り、かけ(うどん)の大を注文。
うどんの玉を入れてもらったうつわにちくわ天をのっけて、お金を払ってから寸胴から出汁を注ぐ。
それを店外のベンチに座ってすするのだが、さすが名店。
麺も天ぷらも出汁もおいしい。
名古屋でうどんといえば赤色の鰹出汁が基本だけど、薄色の割にはしっかりした炒り子出汁の味も僕の好みだ。
これを書いているいまでも思い出すとうどんが食べたくなる。

正午に近づき続々と客が増える前に店を出て、東鴨社に向かった。
「がもう」近くの大通りを加茂町鴨庄の交差点まで戻り、細い道に入って坂を上がっていくと境内に出た。
一見してクスノキが多い境内だが、鳥居を境に境内の反対側に伸びる参道は等間隔に植えられたクスノキの並木道になっていた。
クスノキの並木なんて珍しい。
鳥居から拝殿まで80歩、まずは参拝。

神社は山裾に鎮座しており山の木々と境内のクスノキで緑豊か。
とてもすっきりした境内には静寂が似合うのだろうが、山の方に採石場でもあるのか機械の作動音に加えて大型車の通行音のため騒がしい。

境内に祭神や由緒について書かれたものはなかった。
「式内社調査報告」によれば祭神は一言主命と玉依姫。
一方の西鴨社は別雷命をまつるので、近くにある鴨社とはいっても祭神を異にしているから不思議だ。

境内を歩き回りとめていたFATBIKEに乗って次の目的地である西鴨社に向かおうとしたとき、おなかに異変を感じた。
その状態でペダルを漕いだのだが、悲劇は十分後、西鴨社に着いてから起きた。