■月次祭レポート 1月1日 中区平和

 屋根神さまを撮り続けていると、あるパターンに気付くようになる。1、15日に月次祭を行うところ、1日だけ行うところ、年に数回だけ飾り付けを行うところなど、様々だ。中区平和にはお正月にだけ特別な姿を見せてくれる屋根神さまがあるので、2004年の元旦早々早起きをして現地に向かった。
                   
 中区平和は名古屋市内の中心部にありながら長屋や閑所などが多く残る。山地英樹さんの写真集「なごやの屋根神さま」には屋根や軒下にまつられた屋根神さまを平和地区だけでも数軒見ることができたが、現在同地区で見られるのは3軒のみ。そのうちの1軒を今回訪ねたのだが、通常の月次祭のときにはお供えは飾ってあるものの提灯をつるしてある光景を見たことがなかった。毎年1月2日か3日に現地を訪れて提灯を飾った写真を撮っていたので、ぜひ準備風景を写真におさめ、まつっている方から話を聞きたいと思っていた。そこで大晦日の12月31日、現地に出向き掃除をしていたおじいさんに準備を行う時間を尋ねた。「毎年8時半から9時にはやるよ」「もし準備する人がこなかったらわしがやったるでいいよ」と協力的な言葉をいただいた。
                  
 さて元旦の朝、自宅のある西区から名鉄に乗り金山駅で下車。7時50分ころに現地に到着、カメラを用意し三脚をたてる。すると8時10分ころに当番の女性が踏台らしきものを持ってきたので尋ねると今から神さまの準備を行うという。すかさず撮影にとりかかった。
 当日は正月ということもあってか、野菜や果物をはじめとする山海の幸を盛った三方は山盛りである。さらに社殿両脇には小さな門松を飾った。飾り付けは約30分ほどで終了。お正月だけに念願だった秋葉、熱田、津島の三社の提灯がつるされた。
                   
 その後、前日に準備の時間を教えてくださった方が出てきて神さまにまつわる話を聞かせてくれた。
 この閑所の奥に設置された神さまは長屋の人たちの守り神である。飾り職人をしていたというおじいさんの先代がまつり始めたもので、まつり始めた年代は分からないが相当古いものであるらしい。またこの神さまのおかげで長屋は事故や火災が一度もおこったことがない。「以前はのぼりを立てていたんだけどね。長屋の家が立ち退いていくにつれて人が減ったもんで、今ではやっていないんだわな。でも神さまに関することは率先してやってるよ。ご利益があるでね」。
 おじいさんの奥さまも出てきて下さり、神さまの話を聞かせてくれた。以前は12軒あった当番は今では5軒のみ。月次祭は1日は当番が行い、15日はおばさんが自主的に準備を行っている。提灯は今ではお正月にだけつるしているという。「いつまでできるか分からんけど、やれるうちはやるつもりだよ」。
 ここの神さまは屋根神さまじゃないんですか、と尋ねると、「屋根神さまは屋根にまつってあるのでしょう。ここの神さまは『町内の守り神』だよ」との答えが返ってきた。ちなみにこの町内で以前立てていたのぼりを見せていただくことができた。社殿下の収納庫に大切に保管してあったものを広げて下さったので、写真におさめる。のぼりには「奉納 三社御神前 組内安全」と染めあげられていた。
 
●プロフィール●
外形:切妻造(だと思う)、台上。
祭神:津島、熱田、秋葉
お祭りを行う戸数:5軒(1日のみ)
社殿年数:詳細は不明だが100年はたっているという。