名古屋発! 町の神さま考

FATBIKEで巡る古社巡礼の旅...

名古屋市:千種区

【町の神さま考】四観音道の秋葉山常夜灯

120306千種区秋葉山常夜灯1

もう十年以上も前だろうか。
JRが東海道宿駅制四百年を記念したキャンペーンの一環として、JR東海管内の東海道ウォーキングマップを発行していた。
電車を利用して目的地まで行き、マップを見ながら歩くのが当時の楽しみだった。

静岡から愛知に向かって歩くと、街道の一定間隔に石造の常夜灯がおまつりされている。
「秋葉大権現」「秋葉山」などと記銘された常夜灯には江戸期に建立されたものもあり、東海道が国の重要幹線として使われていた当時から行き交う旅人を見守ってきたのだろう。

名古屋市が発行する「新修名古屋市史」には市内19箇所の秋葉山常夜灯が一覧に紹介されており、そのうち15箇所は江戸期のものだ。

千種区・日泰寺の脇を通る四観音道の秋葉山常夜灯。
火袋には、かつて電気が灯されていたようだが、今は電球は外されている。
竜泉寺と笠寺観音を結んだ道も現在では、歩きから他の交通手段にとって変わられた。
巡拝の人々を見守ってきた常夜灯も今ではその役目を終え、ひっそりと忘れられたようにたたずんでいる。

【町の神さま考】 狛犬なでて人生を前向きに

120216晴明神社

私事で恐縮だが、八年前に大失恋をして以来、「自分はダメな人間だ」と思い続けてきた。
この間、素敵な女性に出会う機会も多かったが、心の中に植えつけられたネガティブな思考を自分の内面から拭い去ることはできずにいた。

名古屋市千種区、ナゴヤドームの南側に鎮座する晴明神社は平安時代の陰陽師である安倍晴明公をまつる。
団地の一角に建てられたこじんまりとしたお宮さんで、週に数回、午後の数時間を町内の人が当番で守札などを授与している。

「あんた、男だで左側の狛犬さんをなでなさい」

神社の説明をしてくれたおじいさんはかつて大病をわずらったが、狛犬をなでて健康を取り戻したそうだ。

「お参りして自己暗示をかけるんだよ」

目下の悩みは前立腺肥大。
「おしっこが出ますように」と自分に言い聞かせながら狛犬をなでていたら、最近調子がよくなったという。
自己暗示の力だ。
「成功哲学」の著者、ナポレオン・ヒルの言葉通り「思考が現実化」するというなら、おじいさんの前立腺も手術なしで快癒するかもしれない。

再びわが身を振り返ってみる。
ダメと思い続けてきた数年間、自分自身に悪い暗示をかけ続けてきたことになる。
おじいさんの言葉を信じて、狛犬をなでながらプラスの暗示を自分にかけるのなら、少しは前向きに生きられそうな気がしてきた。

写真は名古屋市千種区、晴明神社。

【ことば】これは...高牟さんでね...

「これは屋根神さまじゃなくてね、高牟さんでね、町内の神さま、町内で守っている神さま」


--解説--
塀の上に載せられている神輿型の社。高牟神社のみがおまつりされている。
名古屋市千種区/2008年12月

【ことば】まあいい、オレがやるわぁ...

「やるひとがおばあさんひとりとかだろう、見とると気の毒だで。落ちそうになっとるのを見ると “まあいい、オレがやるわぁ” ってなるわな。でもそうやって、やってあげられるのがこの町内のいいところだけどな」


--解説--
社に隣接する家に住むおじさんに話を聞く。社は新しくなるたびに少しずつ下にさがり、お年寄りでもおまつりしやすいようになっているらしいが、それでもはしごをかけての祭礼準備には危険を伴う。高いところの作業だけでも手伝うよ、と困っているひとに気軽に声をかけられる雰囲気がこの町内にはまだまだ残っている。
名古屋市千種区/2011年8月1日

【屋根神】千種区山門/千種-3

110801千種区山門5


千種-3
所在地:名古屋市千種区山門
    Nagoya-shi chikusa-ku sanmon
祭 神:秋葉・熱田・津島
場 所:壁面
向 き:南
地 図千種区の屋根神さま所在地
祭礼日:正月・月次祭・秋祭(10月)
氏神社:城山八幡宮
メ モ

・11年8月1日
 5年ぶりに訪れました。夏になると「覚王山の屋根神さま」に会いたくなります。2002年には旅館に泊まり、2006年には新しくなった神さまを見に行きました。ちなみ本日は7時半ころに準備の方が来られましたが、「10時になったら提灯とお供え持ってくる」といわれたので、コーヒーを飲みながら待機。10時少し前に当番の方が来られました。高齢者が多くなったので新しい社は少し低く設置したそうです。「前は上のパイプのとこまであったよ」。新調されて5年たっているようですが、外ブタのおかげで、社のなかはとてもきれいでした。
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・06年8月15日
 8月15日、お盆真っ盛りのこの日、久しぶりに千種区山門町の屋根神さまを訪れました。山門町の屋根神さまは覚王山・日泰寺の参道脇にまつられており、以前仕事で近くを通った際に社殿が新しくなっているのを発見、一度訪れたいと思っていました。当日は午前6時半ごろに現地におもむき約二時間を神さまの下で待機していました。このところ祭祀時間が遅めか事前に把握しているところが多かったので、二時間待機というのは本当に久しぶりです。

 ところで新しくなった屋根神さま。きれいになった以外に、以前の社殿と比べてどんなところが新しくなっているのでしょうか? 待機中に近所の方からお聞きしました。

「新しくしたのは今年の5月15日、向かいの旅館(酒井屋旅館)のご主人が寄贈して下さいました。新しくした際に社殿の位置を少し低くしました。ハシゴに上ってまつることが負担になりましたからね」

 よく見ると社殿後方の少し上に以前まつっていたことをうかがわせる跡がくっきりと見えていました。

 ちなみに以前撮影した2002年の9月15日、私は向かいの旅館である酒井屋旅館さんに宿泊して翌日の撮影に備えました。じつはその一週間前に訪れた時、朝6時50分という早い時間ですでに準備終えられていました。それより早く現場にいるには泊まるしかないと、旅館への宿泊を計画したわけです。そしたらなんと運がいいことに、酒井屋旅館さんが当番だったので、私の撮りやすい時間に準備をして下さるとの特典付き。今回撮影を終えて帰り支度をしていると旅館の若女将さんに偶然にも会うことができました。あいさつをして4年前のお礼をするとちゃんと覚えて下さっていました。
「屋根神さまのある風景」(yanegami.exblog.jp)2006年8月18日掲載分より


・02年09月01日
 8月15日に引き続いて訪れた。今まで筆者が調査した名古屋市内の屋根神さまの中で一番東側にあるものなので、一度写真を撮りながらまつる人たちから話を聞いてみたいと思い訪れたのだった。

 まず8月15日だが、この日は栄生の家から直接当地に向かった。家から一番近い亀島駅まで自転車で行き駅で輪行した。しかし駅の表示には始発が午前5時半過ぎに出るとのことであるので、仕方なく待つ。始発電車に乗り覚王山駅に到着したのは6時少し前。嫌な予感がしたのであわてて自転車を組み立て屋根神さまのまつってある路地に向かう。

 山門町の屋根神さまは日泰寺の山道を広小路通から寺を向いて歩いていき2本目の筋を右に入ったところの北側の塀にまつられている。一目散に自転車を飛ばしたところ、嫌の予感は見事適中した。紫幕、三社の提灯、お供えものがすでに行われていた。あぜんとしつつもこれも現実と受け止め、再度の挑戦を誓い、何枚かの写真を撮った。そのとき屋根神さまのまつってある南側の建物が目に入った途端、筆者はほくそ笑んでしまった。その建物とは何を隠そう旅館である。早く準備する人がいるのなら、その人よりも先に神様の下で張っているのが筆者のスタイルである。とよからぬことを考えながら、次回に供えた。

 結論からいってしまえば非常に運が良かった。いや良すぎてしまって写真が今一であった。

 前日の午前中に予約しておいた「酒井屋旅館」には午後6時半ころに到着した。宿で翌日の件を話すと、偶然にも旅館の方が神さまの当番であるという。前回6時にすでに準備が終わっていたむねを話すと、それは何か用事があり早く準備しただけであって、普段は7時に行う人や遅い人は9時ころに行う人もいるとのことだ。当番は一回ごとで、その日が終わると提灯や三方などの神具が入った木箱と提灯の木わくを回すという。また正月に当番となった人は熱田神宮、秋葉山円通寺、津島神社に札受けに行く。

 神さま自体がいつごろのものかは分からないが、かなり古いことだけは確かだ。話をしてくれた酒井屋旅館のご主人は現在70歳であるというが、そのおじさんが物心ついたときにはすでに存在していたという。小さいころの写真を見ながら、「このころにはすでにあった」などと話をしてくれた。

 祭神には熱田、津島、秋葉の三社をまつるが、主人いわく「町内の神さま」「お宮さん」であり、特別な名称はないようだ。ましてや「屋根神さま」などという言葉は今まで聞いたことがないといった感じであった。

 神さまは「月見坂自治会9、10組」合同でまつっており、全戸19軒ほどで、1年に1度の割でまわってくる。また町内の祭りにはもうひと組11組も加わり、10月の第2土、日で行う。そのとき氏神である城山八幡宮から宮司が来て祝詞をあげるという。

 社殿の構造としては、長家の並びにある「桶屋」がつくったという社殿の外装の中に神棚が祭ってあるシンプルな造り。社殿の扉裏には「昭和四十八年十月十四日改築 用材一式寄贈」と書かれてある。これは社殿が腐ってしまったことがあり改修したときのことらしい。なお、社殿の下側に置いてある篝火を焚くかごは単なる飾りであって現在は使われていない。

 なぜこの地区のぽつんと一軒だけ「神さま」があるのか。主人の話では、「古くからたてられていた長屋に人が集まり、その人たちがひとつにまとまる上で神さまという媒介が必要であったのではないか、神さまが存在することで町内としてまとまり、祭などを行ってきた。さらにある家から火事が出たがさいわいボヤていどで鎮火した。それが神さまのおかげと納得する理由をつくっ」たそうだ。
メールマガジン「屋根神さまのある風景@nagoya」02年9月1日より
千種-3












・02年08月15日
 午前6時、到着時には既に準備が終わっていた。社殿のふたには「昭和四十八年 十月十四日改築 用材一式 寄贈」と書いてある。社殿の下にはおかがり用のかごが出してある。

【ことば】明日はうちが当番です...

「西区からおみえなんですね。何か用事でもあるんですか...そうですか、明日はうちが当番ですから、お好きな時間でやりますよ」


--解説--
朝早く行ってもすでに準備は終わっていることが多かったので、その町内の旅館に泊まって朝一番に準備風景を撮ろうと思った。宿帳に記入した住所を見て若主人のいった言葉。怪しまれたが、神さまの写真を撮るのが目的であると話すと、偶然旅館の家が神さま当番だった。
名古屋市千種区/2002年9月

【準屋根神】千種区大久手/千種-4

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千種-4
所在地:名古屋市千種区大久手町
    Nagoya-shi Chikusa-ku okutecho
祭 神:秋葉・熱田・津島・高牟
場 所:台上
向 き:東
地 図千種区の屋根神さま所在地
祭礼日:正月・月次祭・高牟神社祭礼(10月)
氏神社:高牟神社
メ モ:道路と道路の間、ちょうど分岐にある公園内におまつりされています。

・10年6月3日
 写真変更しました。
【区分】「屋根神」→「準屋根神」

・10年6月1日
 月次祭に訪れました。以前と特に変わったことはありませんでしたが、提灯の表側が破れて「おばけ」になっていました。神さまがおまつりされている場所は現在はどんぐり広場になっていますが、かつては消防署があったそうです。
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【準屋根神】千種区今池/千種-1/廃社

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千種-1
所在地:名古屋市千種区今池
    Nagoya-shi chikusa-ku imaike
祭 神:秋葉・熱田・津島・伊勢・高牟
場 所:台上
向 き:南
祭礼日:正月・月次祭
氏神社:高牟神社
地 図千種区の屋根神さま所在地
メ モ

・15年4月2日
廃社確認。

・10年6月2日
 写真変更しました。
【区分】「屋根神」→「準屋根神」

・10年6月1日
 月次祭に訪れましたが、すでに提灯や供え物などの飾りつけは終わっていました。よく見ると社を覆うプラスティック製のトタン屋根と木製の柱が新しくなっています。中の社は以前と変わりありません。

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【屋根神】千種区千種/千種-5

千種-5





千種-5
所在地:名古屋市千種区千種
    Nagoya-shi chikusaku chikusa
祭 神:高牟・伊勢
場 所:塀上
向 き:南
地 図千種区の屋根神さま所在地
祭礼日:正月・月次祭・高牟神社祭礼
氏神社:高牟神社
メ モ:旧中道町

・09年1月1日
 神輿型の珍しい社。正月ということもありしめ縄、紫幕、鏡餅、榊などがきれいに飾りつけされていた。祭神は伊勢神宮と高牟神社の二社で、社の扉の奥に納められていた。秋葉神社と津島神社の札はない。先日お話をうかがったおじいさんに再び話を聞くと、「わしがここに来たのが昭和32年(1957年)だけど、そのころからこの状態であった」とのこと。

・08年12月15日
 社のまつられている敷地内のおじいさんに話を聞く。
「これは屋根神さまじゃなくてね、高牟さんでね、町内の神さま、町内で守っている神さま」
「昔ねえ、町内に神輿があってね。それを社代わりに使っているんですよ」
「高牟神社のほかには何もありませんよ」
「お祭は高牟さんの祭の日と正月、1、15日にやるけれども、1、15日にやる人が入院しているので今日はやらない」
「正月に来ればきれいに飾り付けしているよ」

・08年12月13日
 こちらの神さまは「ローカル駅の坪庭」さんから教えていただきました。

【第3刷】千種区内屋根神分布一覧

 市内屋根神一覧表を順次掲載しております。「名古屋市千種区」をUPいたしました。2006年のデータを基準に作成しており、「千種-1」等の番号は「屋根神」写真の番号と連動しています。

★「名古屋市千種区内屋根神分布一覧」はこちらから。

※所在地は丁目までの掲載となります。

<更新情報>


・第3刷発行:[09/1/2]
「千種-5」:千種区千種の神さまを追加。

・第2刷発行:[08/12/15]
「千種-2」:廃社

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ブログについて
FATBIKEというタイヤの太い自転車に乗って延喜式内社を訪ねる旅に出ています。屋根神さまから式内社へ。自転車に乗って神社を訪ね、写真を撮りブログを書く、そんな楽しみに浸る毎日です!
ライブドア 天気
管理人紹介
1973年7月生まれ。以前は名古屋や愛知県の屋根神さまを探しては写真に残していたが、2015年に岡谷公二著「神社の起源と古代朝鮮」に触発されて敦賀市の式内白城神社を訪れたことから式内社に関心を持つ。現在は介護の現場で働く傍ら、各地の式内社をFATBIKEに乗って訪ねる日々を送っている。
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お知らせ
2016年8月現在、屋根神さまの残存確認は行っておらず、「市内屋根神所在地一覧」(2006年作成)に掲載されている屋根神さまのうちすでに消滅したお社もあると思われます。今のところ内容を更新する予定はありませんので、屋根神さまを訪ねる際は消滅したお社があることをご承知おきいただいた上で、「参考資料」としてご活用いただければと思います。
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