名古屋発! 町の神さま考

FATBIKEで巡る古社巡礼の旅...

伊勢国

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・多岐原神社

170720多岐原神社1

木々に覆われ薄暗い境内の奥には木製の鳥居と板塀に囲まれた簡素な社殿が鎮座していた。
参拝してから境内に腰掛けると聞こえてくるのはセミの鳴き声と時折、近くの道を通る軽トラックのエンジン音くらい。

神宮摂社の多岐原神社へは瀧原宮からFATBIKEで四十分。
瀧原宮が鎮座する場所から国道四十二号線を走り大内川と宮川が交わる船木で旧熊野古道である県道に入る。

帰りは宮川を渡って三瀬谷駅から輪行するつもりだったけど、本数の少ない紀勢本線の時間を気にしながらペダルを漕いだ。

多岐原神社の境内には由緒を示す四コマ漫画が掲示してあった。

天照大神の鎮座地を探すために各地を巡幸していた倭姫命。
宮川の急流を渡れずにいたところ近在の真奈胡神が出迎え川を渡した。
そのお礼として真奈胡神を崇める御瀬社を賜り、現在の多岐原神社となった。

さらに真奈胡神の案内で祝詞山の頂上に立った倭姫命は眼下の美しい土地を天照大神を鎮座する土地に選んだという。
その土地に鎮座したのが瀧原宮である。

写真は三重県大紀町。

170720多岐原神社4

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・瀧原宮

170720瀧原宮3

午前中に一件仕事をこなしてから名古屋を出発。
亀山で多岐行、多岐で新宮行の電車に乗り換える。
車内は短縮授業終わりの学生たちでにぎやかだった。

紀勢本線滝原駅でFATBIKEを組み立てた。
そこから神宮別宮の瀧原宮までは十分ほど。

「えらい太いタイヤやな、これなら浜でも行けそうやね」

衛士見張所前で写真を撮っていると守衛さんがそういいながら珍しそうにFATBIKEを眺めていた。

入り口の鳥居から本殿前までは背の高い木々が生い茂る参道を歩く。
鳥居をくぐり森に入ると外界とは明らかに空気が違うし密に茂った木々のおかげでとても涼やかだ。

途中、頓登川に降りて手を清める。
山から流れてきた水なのでとてもひんやりしている。
汗にまみれた手が清められた。

胴回りの太いスギの木が立ち並ぶ樹間を通り過ぎると神域に出た。
白い石が敷かれた上に建てられた社殿。
立て札に記された通り瀧原宮、瀧原竝宮、若宮神社、長由介神社の順に参拝。

祭神は天照大神ではあるけど、倭姫命の巡幸以前は森自体に聖性を感じたひとたちが信仰の対象としていたのではないかと思うほど、広くて深い森。

参拝後も離れがたかったので、ベンチに腰掛けて森の気を存分に体に取り込んだ。


写真は三重県大紀町。

170720瀧原宮5

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・朝熊神社

170706朝熊神社1

内宮から五十鈴川に沿って伊勢湾方面に向かうと、どことなく潮の香りが漂ってきた。
天気は上々、川沿いの未舗装路を走ると訳もなく幸せを感じる。

神宮摂社の朝熊神社、僕は勝手に内宮のなかに鎮座しているものと思い込んで探したけど一向に見つからない。
Googleマップで検索すると内宮からは伊勢湾方向に5kmほど離れた朝熊町にまつられていることが分かった。

朝熊神社の手前に神宮末社の鏡宮神社が鎮座している。
ただ通り過ぎるのもなんだからと参拝することに。

石段を降りて境内に向かうと「カサッ、カサッ」と音がした。
ん? 
明らかに僕の気配に反応している。
草むらをのぞいてみるも正体が分からない。

小橋を渡って朝熊神社へ。
古墳を思わせる小高い丘の上に鎮座する社殿に向かうため石段を上がるとまた「カサッ」と音がした。
音の正体はカニだった。

石段や参道の脇、木の根元、枯れ草の上に片側のハサミが大きくて赤いカニが僕の気配に反応して逃げているところだった。
なかには体調2cmほどの小さいカニもいた。

境内には同じような社殿が二社。
向かって右側が朝熊神社、左側が朝熊御前神社である。

参拝してから来た道を戻ると再びカニたちは動き出した。
カニは朝熊神社の守り神、そんな気がした。

写真は三重県伊勢市。

170706朝熊神社3

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢国國度會郡・荒祭宮

170706内宮1

外宮を出て内宮に向かうと、観光バスから降りてきた大勢のひとたちが宇治橋を渡っていた。

せっかくここまで来た記念に僕も、五十鈴川にかかる宇治橋の手前に立つ一の鳥居とFATBIKEが収まるように写真を撮った。

観光客に混じって宇治橋を渡り、五十鈴川御手洗場へ降りた。
当日は日差しが強く暑い一日だったが、五十鈴川に手をかざすと流れはとても冷んやりとして気持ちよい。

手を清めていざ正宮へ、といいたいところだが、今日、内宮にやってきた目的は荒祭宮。

「FATBIKE古社巡礼!」伊勢国の式内社巡りも大詰めを迎えた。
残すところ数社を数えることになったが、かねがね最後は「大神宮三座」だけを訪ねて終わり、伊勢国を締めたいと思っていた。

正宮を参拝せず荒祭宮だけ、というのは伊勢参宮にはありえないことだけど、今回だけはご勘弁願いたい。

五十鈴川で手を清めてから背の高いスギの木に囲まれた参道を歩いて荒祭宮に向かう。
ここは天照大神の荒御魂をまつる別宮である。
石段を上がって社前に向かい参拝。

今度はいつ内宮に来られるだろうか。
そのときは、度会郡だけでなく、伊勢国の式内社のゴールである!

写真は三重県伊勢市。

170706荒祭宮1

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・山末神社

170706山末神社1

外宮の山裾には式内社でもある神宮摂社が三社まつられている。
度会国御神社、度会乃大国玉比売神社、山末神社。
度会国御神社は外宮の内側から、度会乃大国玉比売神社と山末神社は外周に入り口があり、参拝できるようになっている。

山末神社へはいったん外宮から外周道路に出て、度会乃大国玉比売神社を通り越してしばらく走ると森のなかに社が見えてくる。
入り口には神宮司庁の立て札があり、社名が書かれた背の低い石柱も立っている。

あっここか...

じつは数日前にも訪れて参拝していながら式内社であることを忘れていた。
ともあれ再びこうしてやってこられたわけだから、木製の鳥居をくぐり板塀に囲まれた簡素な社殿の前で手を合わせた。

それにしても気になるのは境内に張られた防獣ネット。
外宮の山裾にありながら山と境内が区切られているようにも見える。

しばらく境内でメモをとっていると神社を管理するおじいさんが自転車に乗ってやってきたので、どんな動物がやってくるのか尋ねてみた。

「イノシシが多いな。ここ(山末神社)にやってきては土を掘り起こしてミミズなんかを食べるんやろ。山のなかは木の実くらいしかないだろうからここまで降りてくるんや」

写真は三重県伊勢市。

170706山末神社4

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・度会国御神社

170706度会国御神社1

度会国御神社は一体どこだろう...

案内の絵地図にはその場所は記されていない。
「式内社調査報告」には外宮内と書かれていたので、どこかにはまつられているはずである。

高宮を参拝してから来た道とは違うもうひとつの出口、北御門へ向かうと、神馬のいる御厨の脇に小道があった。
そこが参道のようだ。

参道自体は整備された道だけど、両脇の森は鬱蒼と生い茂り原生林の趣。
胴回りの太いクスノキがところどころにその存在感を示すように立ち枝葉を茂らせている。
禁足地になっているだろうけど正直、足を踏み入れるのがためらわれてしまう。

度会国御神社の社殿は駐車場に近い場所に鎮座していた。
摂社なので木製鳥居と板塀に囲まれた社殿というおなじみの姿。
まずは参拝。

参拝客の多い外宮だが、小道ですれ違ったひとは二人だけ。
めったにひとが来ないような穴場的な場所である。

来た道を戻り北御門の火除橋を渡る手前、老樹に手を合わせている男性の姿を見かけた。
僕のように式内社を回るひともいれば、老樹に手を合わせるひともいる。

人それぞれの伊勢参宮。

写真は三重県伊勢市。

170706度会国御神社2

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・高宮

170622高宮2

「式内社調査報告」によれば、「延喜式神名帳」伊勢国度会郡に記された高宮は現在、外宮内に鎮座する多賀宮であるという。

御正殿を参拝してから南側の土宮と風宮に続いて石段を上がり多賀宮へ向かった。
朝ということもあり参拝客の姿はまばらだけどそれでも途切れることはなかった。

坂を上がりきると小高い丘の頂部分に社殿が鎮座していた。
まずは参拝。

「山の頂きにあるため古くは高宮と呼ばれていました」

いただいた境内案内図にはそう説明されていた。
確かに高い場所にある。
社殿の正面に立ち、後ろを振り返ると柵があるとはいえ、そこは崖になっている。
何メートルくらいあるのだろう。
その向かい側も山。
いままで気にしなかったけど、外宮が鎮座する場所は本当に山なんだと実感した。

多賀宮の周囲を見渡していると、突然示し合わせたように、セミの鳴き声というか音の塊が左から右へと強弱をつけながら流れていった。
セミの姿は見えないから音が動いているように感じた。
ほんの一瞬のできごとだった。

写真は三重県伊勢市。

170622高宮1

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・度會宮四座

170706度会宮2

赤福を買ったりお店で食べたりするともらえる「伊勢だより」
毎回違ったイラストで三重県内の名所などを紹介している。

僕が外宮を訪れた七月六日の「伊勢だより」に描かれたのは偶然にも「外宮参道」だった。

この日、いつものように午前五時二十分ころに家を出発。
金山駅で輪行、名鉄と近鉄を乗り継いで宮町駅へ。
駅前でFATBIKEを組み立てて外宮に向かった。

「清々しい朝の外宮を歩きます。鳥居をくぐると、思いのほか早くに御正殿にたどり着きます」

FATBIKEを駐輪場にとめて火除橋前で写真を撮っていると、散水車が参道に水を撒いていた。
朝ならではの光景なのだろう。

参道を歩くとあっという間に御正殿に着いた。
鳥居をくぐって社地に入り、まずは参拝。

高倉山の麓に鎮座する外宮だけど、御正殿の建物は木々に覆われておらず、空を見上がると、すっきりとした青空がとても高く感じた。

「ゆったりとした朝の時間が流れていきます」

この日の僕はまさに「伊勢だより」に書かれた内容をたどりながら、ゆったりとした朝の時間を過ごすことができた。

神社は朝に行くといいと言われるけど、とくに外宮は晴れた日の朝に参ると格別だ。

写真は三重県伊勢市。

170706度会宮1

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・棒原神社

170622棒原神社1

三重県玉城町は古墳が多い場所だそうだ。
伊勢国の神社巡りを始めるまでそこに古墳が多いどころか、玉城町自体を知らなかった。
恥ずかしいことだけど、古社巡礼の旅は知らないことを知る旅にもなるのでありがたい。

外城田川に沿って走りJR紀勢本線の線路を渡ると朝久田の集落に入る。
小さな常夜灯が立っていたので棒原神社はすぐ近くにあるのかなを思いきや、それらしき森は見当たらない。
いや集落の背後にお椀をひっくり返したような山はあるっちゃあるが、まさかこの山か。

入り口がないかFATBIKEを走らせていると家と家の間に山へと続く道があり、突き当たりが石段になっていた。
FATBIKEをとめて石段を上がると境内に出た。

木製鳥居と板塀に囲まれた神宮摂社でおなじみの社殿が鎮座している。
年季の入った社殿だが屋根の上に鰹木はそれほど朽ちてはいない。
まずは参拝。

境内を歩いてみてここは古墳ではないか、と思った。
そもそもお椀をひっくり返したような山の姿が“古墳感”を醸し出している。

そう思って調べてみたら「朝久田古墳群」といって、神社を囲むように方墳と円墳四十一基が密集しているというので、驚いた。

写真は三重県玉城町。

170622棒原神社2

【FATBIKE古社巡礼!】伊勢國度會郡・大神乃御船神社

170622大神乃御船神社2

大神乃御船神社と考えられている御船神社。
外城田川を渡るとそのこんもりとした森が見えてきた。

周囲には田んぼが広がる典型的な田園風景。
稲の緑と森の緑、といいたいところだが、田んぼより高台にある神社と田んぼとの間にはかなりの数のソーラーパネルが敷きつめられている。
田んぼと森の間の人工物、これって景観的にはどうなんだろう。

FATBIKEを入り口にとめ石段を上がり境内へ。
それほど高いというわけではないけど、社殿に向かって右側、社地に沿った小道のふちが崖になっており、下をのぞくとその高さに足をすくわれそうになった。

密に茂っている森とは対照的に日も差し明るく開放的な広前。
板塀に囲まれた社殿前に進み、まずは参拝。

小高い場所にあることからこの神社は古墳ではないかと思った。
しかしどこの神宮摂社もそうだが、ここにも由緒を記したものはなく、ただ森と社殿があるのみだ。

境内にいる間、森の奥から草刈機の音が聞こえてきた。
休憩に出てこられた作業員のひとたちにあいさつして神社をあとにした。

写真は三重県多気町。

170622大神乃御船神社3
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ブログについて
FATBIKEというタイヤの太い自転車に乗って延喜式内社を訪ねる旅に出ています。屋根神さまから式内社へ。自転車に乗って神社を訪ね、写真を撮りブログを書く、そんな楽しみに浸る毎日です!
ライブドア 天気
管理人紹介
1973年7月生まれ。以前は名古屋や愛知県の屋根神さまを探しては写真に残していたが、2015年に岡谷公二著「神社の起源と古代朝鮮」に触発されて敦賀市の式内白城神社を訪れたことから式内社に関心を持つ。現在は介護の現場で働く傍ら、各地の式内社をFATBIKEに乗って訪ねる日々を送っている。
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お知らせ
2016年8月現在、屋根神さまの残存確認は行っておらず、「市内屋根神所在地一覧」(2006年作成)に掲載されている屋根神さまのうちすでに消滅したお社もあると思われます。今のところ内容を更新する予定はありませんので、屋根神さまを訪ねる際は消滅したお社があることをご承知おきいただいた上で、「参考資料」としてご活用いただければと思います。
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