■岐阜を訪ねる:必然的な出合い!? やはりあった大垣の屋根神さま

 5月25日、休みの最終日だが、絶好の天気である。にわか雨に降られた一昨日、そしてパンクに見回れた昨日とこのところあまり運気に恵まれていないのだが、だからといって今日のような晴天時に外に出ないのはみすみす運気を逃すようなものである。先日の竹鼻で刺激的な感動を得たので今回も岐阜を探索することにし、フィールドは以前より気にかかっていた水の都、大垣に向かった。

 大垣にはすでに何度も訪れたことがあるが、屋根神さま自体を目的に訪れたのは本日が初めてである。これまで岐阜市、羽島市(竹鼻)と見て回り、岐阜には秋葉神社をまつる小祠を町内で管理している実態が明らかになった。「名古屋よりも岐阜の方が多い」と耳にした噂通りの展開である。それならばこれから時間の許す限り見てみようということで、今回はそのほこ先を大垣に向けたわけだ。

 大垣の屋根神さまについて結論からいえば、現在は船町と宮町に1社ずつが残されているだけである。大垣駅の観光案内所で聞くと、市内の大半は第二次世界大戦の空襲で焼失しており、古い街並はほとんど残っていない。だが数軒ならあるかもしれないと教えられまずは船町に向かった。ご存知の通り大垣は水路の町で駅から近い距離に水路が引かれている。案内所でいただいたパンフレットをみると春には両岸を桜の花がうめ尽くしている。

 そんな水路に沿ってペダルをこいでいると数軒だが木造の民家が見られた。そして船町の交差点を渡ろうとしたとき通りの反対側の家に社殿を発見。建物の二階部分、窓の隣に設けてある。近所の方に話を聞いた。「これは愛知県にある津島神社がまつってありますよ。これって屋根神さまっていうんでしょ」。祭神に関して念のために秋葉神社はまつっていないか確認したところ「秋葉神社はないよ」と、先日訪れたばかりの竹鼻のほとんどが秋葉神社をまつっていたのとは対照的である。ちなみに最近ここの屋根神さまを見にくる人が多いという。「屋根神さま」という言葉は見にくる人たちが使っていたらしい。「大垣にはね、屋根神さまはここと駅の近くの宮町の二軒だけって聞いたよ」と情報も教えて下さったので、写真撮影を済ませ宮町に向かった。

 船町から先ほど通った道を北上し再び駅の方角に進んだ。町の各ブロックごとに張り付けられている町名表示を見ながらも古い民家はないか、あるならばそこに神さまはまつられていないか、を探すが、じきに宮町へ。自転車だとあっという間の距離である。町名表示で「宮町」の所在を突き止めて前を向いた瞬間、こちらも通りをはさんだ反対側の家の前に社殿を発見した。二社とも意外と簡単に見つかったが、感動は大きい。

 宮町の神さまは現在、鉄製のポールの上にまつられており、ポールには「宮町の秋葉神社」と書かれたプレートが張ってある。もとあった高さに備え付けられているのを見ると、本来ならばもとのようにまつりたかったができない、仕方ない、という近所の人々の気持ちを感じ取ることができる。まつってある家の方はその心境を、「この神さまはね、この家がまだ木造だったころ軒の上にまつってあったんだけど新築する祭に、苦肉の作でこうしてポールの上に乗せたんですよ。この辺りは神さまをまつる場所がないもんだでね、仕方なくだよ。以前はね、この辺りは三社あったらいいよ。だけどそれは戦前のもっと前の話でね、私は実際見たことなくてあったということしか知らないですね。」と話して下さった。

 なお、社殿は竹鼻で見られたものと似ており、流造でガラス扉付きの覆殿の中にさらにガラス扉の付いた木箱があり、その中に神棚が設けてある。また祭礼は毎年9月9、10の両日に行なうという。

 それにしても大垣の二社はそれぞれ津島神社と秋葉神社を主神としてまつっているとは面白い。簡単な推理だが、船町は水路脇にまつられていることから、「水天宮」といわれる天王社をまつったのではないだろうか。疫病や災害は水からもたらされる。津島神社は疫病除けの神さまである。名古屋市熱田区大瀬古の堀川端にも同じように水天宮として津島神社をまつる社が見られる。一方の宮町に関しては岐阜や羽島のように住宅が密集しており火事の危険性と隣り合わせだったことから秋葉神社をまつったのではないだろうか。このふたつの推理が正しいのならば、大垣ではそれぞれの地域の機能にあった神さまを選択してまつっていたという考え方もできるのではないだろうか。ただ、空襲で町の大半が焼けてしまっているので、空襲以前にまつられていた神さまについては不明だが。

 さて本日の大垣の旅はこれにて終了だが、ひとつ心配事が出てきた。岐阜市、羽島市、そして本日の大垣市が終わるとまた次の地域を選ぶことになるのだが、現在屋根神さまもしくは屋根上にまつられている秋葉神社を確認したことのあるエリアが岐阜に数カ所ある。この調子だと「岐阜の屋根神さまのある風景」という項目でブログができてしまうようだ。ブログ版の容量が底をつきつつある現在にあって急上昇中の岐阜シリーズの新しい展開については検討の余地ありである。