小学生時代から自転車が好きだった僕にとって、新しい自転車が届く日は、特別な日である。

自転車はいつも転機を与えてくれた。
資料に掲載されていた名古屋市内の屋根神さまを訪ねるときも、屋根神さまの祭礼を訪れるときも自転車は僕を助けてくれた。
地下鉄や名鉄を利用しながら市内の狭い区域を回るのに強い力を発揮してくれた折りたたみ自転車は現在、三代目である。

ここ数年の僕は自転車よりも歩く方が便利と思うになった。
自転車とはいえ、ある程度のスピードは出る。
それさえ速いと思うようになった。
自転車に乗っていたときの僕は、過ぎてしまった風景を二度と戻ろうとしなかった、戻るのが面倒くさかった...

大学時代の友人がSNSに上げた投稿を見て、何となく自転車っていいな、と感じることがあった。
間を置かずアウトドアショップで展示してあるMTBを目にする機会があり、最新のモデルに感激する一方、進化しすぎたその形に疑問を感じた。

自転車は素敵だ。
でもロードバイクのように速いものはいらないし、前後にサスペンションがある必要もない。
速く走れず、山ノ神や野神、道祖神に会いに行ける自転車なんて、あるのだろうか...