
そういえば湖北に式内社を訪ねる旅を始めてから、近くにあるはずなのに全然その存在に気づかないものがある。
滋賀県のシンボルである琵琶湖。
地図を見ると高月駅から西へ数キロのところに湖があるのだけど、湖の存在を感じさせないのは平野との間に壁のように立ちはだかる山があるからだ。
その山の山頂には「古保利古墳群」「西野古墳群」といって古墳が築かれている。
天八百別神社は山の東側に鎮座し、その森は遠くから見ると背後の山に溶け込んでしまうくらい緑が深い。
入り口の鳥居から拝殿まで115歩。
まずは参拝。
境内に入ると、外から想像していたよりも広々とした空間がある。
「式内社調査報告」には、背後に築かれた古墳群と関係のある神社ではないかと記されている。
古墳に埋葬された人々をまつるための施設だったのだろうか。
メモを取ろうと拝殿の東側に腰掛けると社叢林の隙間から遠くに雪をかぶった伊吹山の姿が眺められた。
神社は背後の古墳をまつり、しかも伊吹山が眺められるという二つの条件が重なった場所に鎮座しているように思われた。
写真は滋賀県長浜市。
